2025-10-01から1ヶ月間の記事一覧
十月の終わりになると、ニュースやSNSではハロウィンの話題があふれる。仮装した若者たちが夜の街を歩き回り、笑い声と音楽でにぎわっている。だが、その光景を見ながら、私はふと首をかしげてしまう。——これはいったい、何を祝っているのだろうか。 ハロウ…
十月の終わり。朝晩がぐっと冷え込み、山々の木々が紅や黄に染まりはじめた。それとともに、毎年のように聞こえてくるのが「熊出没」の知らせである。 昨日の夕方も、行政無線が鳴った。「〇〇川の橋付近で熊の目撃情報がありました。付近の方は十分に注意し…
今日は十月二十九日。秋真っ盛り。どこか肌寒さが身にしみる朝だ。 上着を羽織り、庭に出てみる。ふと視線の先に、小さな百日紅(さるすべり)が立っていることに気づいた。 ◆ 夏の白い花のこと 夏には、薄紙のような白い花をたくさん咲かせていた。陽射しを…
昔話を読んでいたら、「小僧の餅焙い(もちあぶり)」という話が出てきた。その中に「餅を囲炉裏の灰の中に埋けて焙った」という描写がある。読みながら、ふと昔の光景が蘇った。そういえば、うちにも囲炉裏があったのだ。 今はもう家から囲炉裏は消えたが、…
歩きながら、柿の木の葉に目がとまった。 まだ緑の残る葉に、ところどころ黄金色が混じっている。 子どもの頃は、柿のオレンジの実ばかり追いかけていたけれど、 今は葉っぱのひらひらした揺れや、風に乗った香りに秋を感じる。 小さな葉が教えてくれる季節…
今日は二十四節気のひとつ、霜降(そうこう)。旧暦では九月、戌の月の中気にあたり、ちょうど今の十月二十三日ごろ。「霜が降りる」という名のとおり、秋の終わりを告げる節目です。 朝の空気が、ひときわ冷たくなってきました。早朝には、草の上に霜の白さ…
中葉春菊を播種して約一週間。朝の畑にしゃがみこむと、湿った土の上に、点々と緑が光っている。ほんの少しの種を蒔いただけなのに、こうして芽がそろって顔を出してくれると、なんだか小さな奇跡のように思える。 春菊は、手のかからない野菜だ。摘心をして…
ある朝、携帯に一通のメッセージが届いた。「はじめまして、採用担当の◯◯です——」 どうやら私は、どこかの企業からスカウトされたらしい。複数の求人サイトで履歴書を見たうえで、「あなたはデータ関連の仕事に非常に適している」とのこと。 ……そんな立派な…
エンドウの種を蒔いて、五日目。今朝、畑をのぞくと、小さな黄緑の芽がマルチのすき間から顔を出していた。 雨がしとしとと降っている。気温は18度。指先に触れる空気が少し冷たく、秋が深まってきたのを肌で感じる。 こんな天気の朝に、芽が出ているとは思…
〜あの頃の運動会を思い出す〜 先日、SNSで懐かしい名前を見つけた。50年以上前に私が卒業した田舎の小学校である。記事の内容は、学校のイベントを紹介するものだったが、目に留まったのは「全校生徒18人」という数字だった。 一学年あたり、わずか3人。こ…
山あいの道を走っていると、ふいに視界がひらけた。そこには、白い花が一面に咲くそば畑。まるで霧が降りたように、あたりがやわらかな光に包まれている。 そばの花は、桜のような華やかさも、コスモスのような軽やかさもない。けれど、静かに見ているうちに…
畑でナスやピーマンを収穫していると、ズボンに小さな粒のようなものがいくつもついているのに気づいた。よく見ると、細い枝に並ぶ小さな実が、しっかりと布に食い込むようにくっついている。取ろうとしてもなかなか離れない。まるで、どこかへ旅をしようと…
昨日は、町民運動会だった。朝からよく晴れて、雲ひとつない秋空。グラウンドの砂ぼこりさえ、どこか懐かしい。町内のあちこちから、子どもたちや保護者、地域の人たちが集まってくる。 放送塔のスピーカーから、少し歪んだ声でアナウンスが流れる。「本日は…
朝、庭を歩くと、カタバミの花がまだ眠っていた。しぼんだ花びらが、まるで朝露の中でまどろんでいるようだった。 それが昼になると、どうだろう。陽の光を受けて、ふわりと開いたピンクカタバミの花。小さな五枚の花びらが、風に揺れてこちらを見上げている…
夏の茄子がひと段落したころ、株の疲れを取るために「更新剪定(こうしんせんてい)」を行った。枝葉を思いきって切り戻し、肥料を与えて様子を見ていたのだ。最初は本当に芽が出てくるのか、少し半信半疑だった。 命を吹き返した株 ところが、秋風が吹きは…
今日は「寒露」。旧暦でいえば九月、戌の月の正節にあたり、新暦では十月八日ごろ。五穀の収穫もたけなわで、農家がいちばん忙しく動くころ――……のはずなのだが、どうも実感が伴わない。 というのも、今日の気温は24℃。曇り空ではあるが、上着を羽織るほどで…
夜の庭に出ると、空がやけに明るい。見上げると、まんまるの月がぽっかりと浮かんでいた。 どうやら今夜は中秋の名月らしい。 スマホを取り出して、思わず一枚。しかし、撮れた写真を見ると——あれ、まるで街灯のよう。肉眼ではあんなに美しかったのに、レン…
柳田國男の『公認の悪戯』という一文に、こんな話があります。 「味をしめるということが、よく子供については言われる。子供には自制の念が乏しいのは当たり前だから、してもよろしいとなると大抵のうまいことが、癖にも流行にもなりやすい。……八月十五夜の…
九月六日。今年も十五夜がやってきます。旧暦の八月十五日。月見団子やススキを思い浮かべる方が多いと思いますが、私の故郷・鹿児島では、少し違った十五夜の風景が広がっていました。 それは――「十五夜綱引き」。 今ではやめてしまった集落も多いそうです…